厨房設備・厨房機器
飲食店に欠かせない6つの厨房設備と厨房機器を選ぶ際の7つの注意点
飲食店を開業する際に最も重要な投資の一つが、厨房設備・厨房機器の整備です。厨房はお店の「心臓部」ともいえる存在で、効率的なオペレーションと高品質な料理を提供するための要になります。しかし、いざ厨房設備を揃えようとすると「何を揃えたらいいの?」「開業後にトラブルが起きないよう万全に準備するにはどうしたらいい?」と不安になる方も多いのではないでしょうか?
例えば、「飲食店に必須の厨房設備は?」「どの厨房機器を選べば失敗しない?」といった疑問を抱えているオーナー様は少なくありません。実際、厨房設備や什器の購入には多額の初期費用がかかり、メンテナンスにも時間とコストがかかります。
そこで、飲食店に必要な6つの基本的な厨房設備や、あると便利な厨房機器をピックアップし、それぞれの役割や選定時のポイントを詳しく解説します。また、導入時の注意点についてもご紹介しますので、厨房設備・厨房機器の新規導入や入れ替えをお考えの方は、ぜひ参考になさってください。
飲食店に欠かせない6つの厨房設備
飲食店の業態などによって必要な厨房設備は異なりますが、このセクションでは以下に挙げる基本的に必要な6つの厨房設備をご紹介します。
・ガステーブル・ガスレンジ
・冷蔵庫・冷凍庫
・調理台
・製氷機
・シンク
・食器棚
1.ガステーブル・ガスレンジ
ガステーブルとガスレンジは、厨房の中心的な調理設備です。特徴として、ガステーブルには複数のコンロに加え、魚焼き用のグリルが付属しています。ガステーブルはシンプルな機能でガスレンジより調理の幅は狭いですが、コストを抑えた選択肢として有力です。
一方、ガスレンジはコンロやグリルに加えてオーブンも一体化した多機能調理器具で、同時に複数の調理が可能なため作業効率が大幅に向上します。ガスレンジは予算に余裕があり、多様なメニューに対応できる調理機能が必要な場合に適しています。強火力バーナーは低温着火を防ぐためにも壁側にこないようにするのが望ましいです。
2.冷蔵庫・冷凍庫
冷凍冷蔵庫は食材の保存を目的とした独立型の設備で、後述するコールドテーブルとは異なり、冷蔵庫と冷凍庫がそれぞれ分かれているタイプが一般的です。価格はサイズや容量に応じて幅がありますが、業務用冷蔵庫は容量やサイズが豊富で、店舗の規模や設置場所に合わせて選べます。
冷蔵庫や冷凍庫を選ぶ際には、「どのくらいの食材をストックするのか」を冷蔵・冷凍に分けて明確にし、それぞれに必要な容量を把握することが大切です。購入前に、1日に必要な食材の量や、どの程度のストックが必要かを計算しておきましょう。実際にどこに設置するかも考慮し、作業動線や使い勝手をイメージしながら適切な設置場所を選びます。
また、広島市の規定では、冷蔵庫や冷凍庫に庫内の温度を適切に管理できる温度計が必須です。もし温度計が付いていない場合は、外付けの隔測温度計を導入して外部から温度を常に把握できるようにする必要があります。
参考情報:飲食店営業一類|広島市公式ホームページ
意外に見落としがちなのが搬入口のサイズです。大きな業務用冷蔵庫を購入しても、店舗内に搬入できなければ意味がありません。出入口や通路、エレベーターの幅も確認し、確実に設置できるかどうかを事前にチェックしておきましょう。一般的に冷蔵庫の幅にプラス10cmほどの余裕が必要です。
パススルー冷蔵庫とは、表と裏の両側に扉が設置され、食材の出し入れが両面から可能な構造の冷蔵庫です。冷蔵庫の扉はガラス仕様なので、扉を開けなくても庫内にある食材の状態を確認できます。上記画像の導入事例では、製造場と盛付室の間にパススルー冷蔵庫を設置し、下処理済みの食材を冷蔵庫に保管して反対側にある清潔な作業区域の扉から取り出せます。
この動線設計により、限られた厨房スペースでも両側からアクセスできるので交差汚染を防ぎながらスムーズな作業フローを実現し、HACCP管理にも有効です。上記画像のパススルー冷蔵庫は、庫内に蛍光灯を備えた特別仕様となっています。
HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)とは、食品の安全性を確保するための衛星管理手法です。食品の製造や調理の過程で発生し得る危害(ハザード)を分析し、その中で特にリスクの高い工程を「重要管理点」として特定・監視します。
この手法により効果的な管理をして、食品をより安全に提供できます。HACCPは世界中で食品業界に広く導入されており、日本でも2021年6月1日から、原則としてすべての食品事業者に対して法的に義務化されました。
3.調理台
調理台は厨房で行う食材の仕込みや料理の盛り付けなど、作業効率を左右する重要な設備です。調理台を選ぶ際には、台の下に収納したい物や作業スペースの使い方を考慮しましょう。スノコ板付き・引き出し付き・引き戸付きなど、さまざまなタイプがあり、用途に合わせて選択可能です。
高さはほとんどのメーカーの規格が800mmで、家庭用のキッチンよりも低いです。厨房の調理台は奥行きがあるため、少し低い方が寸胴や鍋などの高さがある厨房器具を置いた場合でも作業しやすく、器を並べても盛り付けやすくなります。
材質は錆びにくく手入れが容易なステンレス製が一般的で、サイズや機能によって価格が異なります。小規模な厨房では、冷蔵・冷凍機能が一体化したコールドテーブルを導入すると、作業スペースを確保しやすくなります。
コールドテーブルは、天板を作業台としても使える高さの業務用冷蔵庫です。冷蔵・冷凍機能を持つ設備で、厨房内のスペースを有効活用できます。食材を取り出してすぐ調理に取り掛かれるため、作業効率もアップします。例えば、営業中に使用する食材はコールドテーブルに保管し、翌日以降に使う食材は冷凍冷蔵庫に保存するなど、効率的な使い分けが可能です。
4.製氷機
製氷機は、飲食店の運営において欠かせない設備の一つです。特にドリンクを提供する店舗では、安定した氷の供給が求められます。製氷機を選ぶ際には、製氷能力・貯氷量・作れる氷の種類を考慮しましょう。
製氷能力とは、24時間でどれだけの氷を生産できるかを示す数値です。例えば30kgの製氷能力を持つ製氷機では、24時間で約30kg、1時間あたり約1.25kgの氷を生成できます。また、「約32 / 34 kg 日(50/60Hz)」という表記は、左が50Hz、右が60Hz地域での生産量を示しています。
製氷能力は店舗の席数に応じて「席数×1.5倍」を目安に選ぶとよいでしょう。具体的には、20席の店舗であれば30kgの製氷能力を持つ機器が推奨されます。また、製氷量は設置環境に影響されるため、室温と水温の前提条件(例:室温20℃・水温15℃)も併記されています。
貯氷量とは、氷をどれだけストックできるかを示す容量のことで、一般的には製氷能力の約半分程度が貯氷量です。ただし、貯氷量には自然落下して隙間がたくさんある状態の「自然落下時貯氷量」と、氷を平らにならして貯氷庫が満杯になったときの「最大ストック量」があります。
例えば、製氷能力と貯氷量がそれぞれ下記の条件に当てはまる機種の場合、自然に落下した氷の量が約10.5kgになると製氷が停止します。氷を平らにならしても最大ストック量の約18kgまでしかストックできません。
・製氷能力:35kg
・自然落下時貯氷量:約10.5kg
・最大ストック量:約18kg
ピーク時に氷の消費が増加してストックしていた氷を使い切る場合は、1時間あたりに供給できる氷の量にも注意して選ぶ必要があります。
製氷機で作れる氷は主に以下の7種類です。氷の特性や用途、業種に最適な種類を選びましょう。
・キューブアイス
・ハーフキューブアイス
・丸氷(まるごおり)
・クラッシュアイス
・フレークアイス
・チップアイス
・異形アイス
5.シンク
シンクは、食品や調理器具を洗うために必須の設備で、保健所の規定に従って選ぶ必要があります。シンクの種類は、槽の数によって1槽シンク・2槽シンク・3槽シンクに分類され、一般的な保健所の規定によると、食器と食材を別々に洗浄できるよう、業務用シンクは2槽以上必要です。
どんな調理工程があるかによっては、特殊なシンクが適しています。例えば、茹でたそばなどを冷やすための「そばシンク」や、魚をさばく際にシンク内へまな板を入れられる「舟形シンク」などです。選定にあたっては、まず保健所の規定を満たしているかを確認したうえで、用途に応じた最適なシンクを選びましょう。
6.食器棚
飲食店で使用する食器棚は、扉が付いているか、すべての食器を収納できるか、掃除しやすいか、防錆加工されているかといった点を考慮しましょう。清潔感があり、お客様が見たとしても好印象を与えるような食器棚が望ましいです。
また、飲食店は保健所の規定に従った食器棚を選ぶ必要があります。例えば、広島市では共通基準として次のような規定があります。
外部から汚染されないように戸やフタがついた構造(密閉構造)であること。戸付保管庫、食器戸棚、冷凍・冷蔵庫など。
参考情報:飲食店営業一類|広島市公式ホームページ
あると便利な厨房機器4選
飲食店向けの厨房製品には、特定の機能に特化した便利な厨房機器が多数存在します。これらの機器を導入すると、厨房環境を改善して人件費削減や作業効率の向上が見込まれ、店舗運営のコスト削減にもつながるでしょう。以下に、店舗の業務を支える便利な厨房機器を4つ紹介します。
1.業務用食器洗浄機|人件費も水の使用量も下がる!
画像引用元:業務用食器洗浄機 JWEシリーズ ドアタイプ 製品特長|ホシザキ株式会社
業務用食器洗浄機は食器を洗う作業を効率化し、人件費や水道代の節約に役立ちます。業務用食洗機は洗浄力が高い機器がおすすめです。ホシザキの業務用食洗機は、大流量・高圧力のポンプで強力な洗浄を行えます。
油汚れが多く大皿を多用する洋食店や中華料理店には、比較的洗浄力が高いドアタイプの食洗機がおすすめです。20席前後の小規模な飲食店には、カウンターの下に設置できるアンダーカウンタータイプの食器洗浄機が向いているかもしれません。
ピーク時に食器がシンクに溜まると作業効率が下がり回転数にも影響しますが、食器洗浄機を導入するなら、作業の流れをスムーズに保てます。水道・電気代などのランニングコストを抑え、作業効率を高められる食洗機は、即戦力として導入を検討する価値があります。
参考情報:業務用食器洗浄機 JWEシリーズ アンダーカウンタータイプ 製品特長|ホシザキ株式会社
2.急速液体冷凍機【凍眠】|鮮度を保って廃棄ロスを削減する冷凍技術
画像引用元:冷凍しても美味しい凍眠の技術 | 急速液体冷凍機【凍眠】|株式会社テクニカン
液体急速凍結機【凍眠】はマイナス30℃の液体を使用し、食材を一般的な冷凍庫の約20倍のスピードで素早く凍結する技術を用いています。熱伝導は空気よりも液体の方が圧倒的に速く、食材の細胞を破壊せずに凍結できるため、食材の水分や旨みを逃がさずにドリップがほとんど発生しません。解凍すると生食と区別できないほどフレッシュな状態に戻り、品質も味も落ちないのです。
液体急速凍結機「凍眠」の凍結技術により、鮮度を保って長期保存が可能になり、仕入れのコストや廃棄ロスを大幅に削減できます。これまで冷凍保存が難しかった食材でも新たな販路の開拓を期待できるでしょう。
3.涼厨仕様の炊飯器
炊飯器を選ぶ際におすすめしたいのが、業務用低輻射タイプガス炊飯器のRinnai「RR-S20SF」です。従来の炊飯器は調理中に大量の輻射熱を発生させ、厨房全体が暑くなる問題がありました。しかし、涼厨®仕様の炊飯器に切り替えると、空調設備工事をしなくても「低輻射」と「集中排気」によって厨房内の温度上昇を抑え、快適な調理環境を維持できます。
業務用低輻射タイプガス炊飯器は、胴体部分を「3層構造」にして空気の層を形成し、外側の表面温度を従来の半分以下に抑える仕組みです。涼厨®仕様の炊飯器は内部に空気の流れを作り出す構造が特徴で、外部から取り込んだ空気が炊飯時の熱を奪って排気し、本体表面の温度上昇を防ぎます。排気フード付近へ効率的に排出する涼厨®仕様の炊飯器もあります。
ご興味のあるお客様は、カタログをご用意しておりますので、お気軽にお申し付けください。
4.多機能なスチームコンベクション
スチームコンベクションオーブンは、スチームと熱風を組み合わせて、一台で「焼く」「煮る」「炒める」など多様な加熱調理が可能です。ホテルのレストランなどでよく使用されていて、居酒屋などでも作業効率を高めるのに役立ちます。
スチーム機能が付いたコンベクションオーブンは、熱風で外側をカリッと仕上げつつ、内部の水分を保ってふっくら調理が可能です。さらに、パネルで調理方法と時間を設定するだけで、本格的な料理を簡単に作れるので、人手不足の店舗にとって大きな助けとなるでしょう。
スチームコンベクションオーブンの世界シェアは、50%以上がRATIONALです。
導入実例:済生会広島病院様
厨房設備・厨房機器を選ぶ際の7つの注意点
飲食店の設備を整える際には、スムーズな業務運営と安全を確保するためにさまざまな注意点があり、適切な機器を選んで設置基準を守るのが成功の鍵です。本セクションでは、厨房設備・厨房機器を選定して導入する際に注意すべき7つのポイントを解説します。
これらの注意点を意識して事前に必要な対策を講じるなら、不要なトラブルや追加コストを回避できます。飲食店の開業や設備の入れ替えに役立つ情報として、ぜひ参考になさってください。
1.ガス種・対応電圧を確認
2.火を使用する厨房設備を消防署へ届け出る
3.設置基準の確認を徹底する
4.排煙・換気設備を適切に設置する
5.効率的なレイアウト設計を意識する
6.店舗の広さに応じた厨房設備のサイズ選定
7.提供メニューに合った設備を選ぶ
1.ガス種・対応電圧・位置を確認
厨房機器を購入する際に最も肝心なのは、ガス種と電圧の確認です。ガス機器は必ず、使用するガス種(都市ガスまたはLPガス)に合った機器を選ぶ必要があります。都市ガスの主な規格は、13Aや12Aです。13Aと12Aが併用できるガス機器もありますが、必ず適合するガス種を確認して機器を選びましょう。
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注意点1:ガス種を確認
ガス機器と使用するガスの種類が合わない場合、火災や不完全燃焼のリスクが高まります。正常に燃焼しないと、有毒な一酸化炭素が発生して一酸化炭素中毒を引き起こす可能性があり、非常に危険です。
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注意点2:対応電圧を確認
電気を動力とする機器では、単相100Vや200V、さらには3相200V(動力)などの電圧に対応しているかどうかを事前に確認が必要です。現状の設備が対応していない場合には、追加の電気工事が必要になりますので、導入前に確認を徹底しましょう。
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注意点3:電気・水道・ガスの位置を確認
厨房のレイアウトを決める際には、電気や水道、ガスの位置確認が不可欠です。位置を把握しておかないと、後から追加工事やレイアウト変更が必要になり、予期していなかったコストが発生する可能性があります。
2.火を使用する厨房設備を消防署へ届け出る
火を使用する厨房設備には火災リスクが伴うため、消防署への届け出が必要です。同じ厨房内で使用する機器の総出力が350kwを超える場合は、消防署への届け出が義務付けられています。届出は設備設置の3〜5日前までに行うのが一般的ですが、自治体によっては提出期限や規定が異なる場合があります。詳細は事前に管轄の条例を確認し、設置前に届け出を行いましょう。
参考として広島市の「火災予防条例第56条」を掲載します。
3.設置基準の確認を徹底する
飲食店を開業する際には、食品営業許可を得るために保健所への申請が必要です。この申請にあたっては、食品衛生法や地域の条例に従った設備基準を満たす必要があります。
例えば、広島市の条例では2槽以上のシンクを設置するよう義務付けられており、食器棚や器具保管庫には必ず戸が付いている必要があります。また、調理場の面積は従事者数に応じた広さ(1.6×従事者数m2以上)が必要です。
このように、地域ごとに異なる厨房の安全や清潔な衛生状態を保つための基準を満たすよう求められますので、厨房機器を購入する前に必ず所轄の保健所で詳細を確認しておきましょう。
参考情報:
飲食店営業一類|広島市公式ホームページ
営業許可手続きの流れ - 食品衛生に関すること|広島市公式ホームページ
4.排煙・換気設備を適切に設置する
適切な排煙・換気設備も飲食店には欠かせません。厨房で発生する煙や油の臭いが客席に流れ込むと、お客様にとって不快な環境になりかねません。特に、喫茶店やカフェでは飲み物の心地よい香りが大切ですので、排煙設備をしっかり整備しましょう。
また、焼肉店や中華料理店、ラーメン店のように油や煙が多く発生する業態では、ダクト設備や油煙除去装置を導入して、不快な煙や臭いが店外に漏れないよう配慮が必要です。排煙設備を適切な計算に基づき配置するなら、近隣住民と険悪な関係になることはないでしょう。
5.効率的なレイアウト設計を意識する
厨房のレイアウトは作業効率に直結する重要な要素で、売上にも影響します。効率的な動線を確保して従業員の安全を守るだけでなく、設備の隙間に汚れが溜まらないよう工夫して清掃しやすい配置にすることも重要です。常に清潔で働きやすい環境を維持するためにも、レイアウト設計に十分な注意を払いましょう。
厨房のレイアウトは、直線型・二列型・L字型・アイランド型の4つのタイプがあります。店舗の広さやスタッフの人数などに応じて効率的な動線になるよう、最適な厨房レイアウトを選びましょう。それぞれの特徴は以下の通りです。
直線型の厨房レイアウトは、シンプルな直線のI字型で、厨房設備が一列に配置されて最小限のスペースで効率的な動線を確保できます。限られたスペースを効率よく活用できるため、小規模な店舗や調理と接客を並行してスムーズに行いたい場合は、直線型が理想的な選択肢です。
二列型の厨房はシンクとコンロを別々のカウンターで二列に配置し、広いスペースで複数の作業を同時に進行できるレイアウトです。複数人のスタッフで効率的に調理を分担する店舗に適しており、大規模なレストランやホテルの厨房に最適な設計といえます。
二列型は調理エリアと洗浄スペースがそれぞれ独立していて、作業分担しやすいのが特徴です。振り返るだけでシンクとコンロ間を行き来できる短い導線で、次の作業にすぐ移れます。下ごしらえから盛り付けまでを効率よく進行でき、スタッフが多くて忙しい店舗に適しています。
L字型の厨房はキッチンがL字型に配置され、作業スペースと収納を直線型よりも広く確保できるのが特徴です。シンクやコンロを直角に配置すると作業動線が短縮され、効率的なワークフローが実現します。
L字型のレイアウトでは、冷蔵庫・シンク・コンロの間に三角形の動線「ワークトライアングル」が形成され、その距離を360㎝~600㎝の範囲に収まるようにすると、さらに作業効率が向上します。厨房の面積が小さくて調理スタッフが少ない店舗には、このL字型が適した選択です。
アイランド型の厨房は独立した作業スペースをフロア中央に配置するレイアウトで、ビュッフェ形式のレストランなど、調理を見せるスタイルの飲食店に適しています。オープンキッチンで調理をお客様に見せながら作業を進められるため、コミュニケーションを取りやすく、エンターテインメント性を兼ね備えた設計です。
6.店舗の広さに応じた厨房設備のサイズ選定
厨房設備のサイズは店舗の広さを考慮して選びましょう。厨房設備を選ぶ際には性能や機能に注意が向きますが、動線を確保しやすいサイズの設備を選ぶのも大切です。なぜなら、性能が優れた厨房設備でも、設備が大き過ぎてスタッフの導線を妨げてしまうと全体の効率が落ちてしまい、事故のリスクが高まるからです。
逆に設備が小さすぎると作業効率が落ち、提供できるメニューが限られてしまう可能性があります。食材を保管するための冷凍・冷蔵庫のサイズ選びも重要です。必要最低限の小さな設備を選んでしまうと、ストックが不足して営業に支障をきたす可能性があります。厨房内での作業効率を高め、スムーズなオペレーションができるよう、店舗の広さや回転数に見合った設備を導入しましょう。
7.提供メニューに適した設備を選ぶ
厨房設備や厨房機器は提供するメニューに応じて選びましょう。例えば、ゆで麺機一つとっても、パスタボイラー・ラーメン釜・うどん釜など、各種麺の特性に応じた専用の機器が必要です。
さらに、日本の水道水の多くは軟水ですが、パスタを茹でる際には硬水が適しているとされています。硬水に含まれるミネラルがパスタのでん粉と結びついて、コシのある食感が生まれるのです。パスタ専門店の中には、本場イタリアの手法を取り入れて硬水機を導入している店舗もあり、料理に応じて軟水と硬水を使い分けています。
このように、保管・仕込み・調理・片付けなどの作業工程を考慮しながら、業態に最適な設備を選定しましょう。
厨房の給排水工事もまとめてお任せください
厨房の床がウエットキッチンかドライキッチンかによって、水道工事の費用が大きく変わります。中華料理など油を多用する業態では、床を水で洗い流せるウエットキッチン仕上げになり、防水工事も必要なら費用が高くなるケースが少なくありません。一方で、喫茶店やバーなどではドライキッチンで十分な場合も多く、工事費用を抑えられます。
SAディールでは、厨房設備の設置に加えて、給排水工事も一括で対応可能です。店舗の設計から内装施工、ホームページや広告物、看板一式までトータルでサポートします。広島・中国エリアで飲食店、ホテル、病院など多数の実績があり、店舗デザインや開業に関するアドバイスも提供しております。店舗の開業、移転、リニューアルをご検討中の方はぜひご相談ください。